お正月の風物詩と言えば箱根駅伝。そして箱根駅伝の魅力といえばなんといっても、母校の襷を繋ぐために懸命に走る選手たちが繰り広げる、様々なドラマと感動を私たちに与えてくれることですよね。
母校が出場する方は当然母校を応援されるのでしょうが、箱根を走ることを目標に日々練習してきた選手たちの熱い走りを見ていると、特に応援する大学がなくったって楽しめるので不思議なものです。
でも、どうせ箱根駅伝を見るなら、ただ漠然と見るよりも事前に優勝を争う有力校の戦力を分析し、区間賞や区間新記録が狙える注目選手などを押さえておくと、もっと箱根駅伝を楽しむことができます。
こちらの記事では管理人が分析した“箱根駅伝2024 戦力分析”と、“区間賞候補”と“優勝校”の予想を紹介しています。データに注目しながら見るだけで、記念大会となる「第100回東京箱根間往復大学駅伝競走 2024」が、これまでの箱根駅伝より100倍は楽しく見ることができると思います。

箱根駅伝2024注目選手を徹底解説
2023年の「第99回東京箱根間往復大学駅伝競走」は駒澤大学が2日の往路優勝、3日の復路優勝も飾り完全優勝での総合優勝に輝きました。
全日本大学駅伝でも圧倒的な強さを見せつけて優勝し、実力では一歩抜けている感じの駒澤大学が箱根駅伝も連覇して2年連続の3冠を達成することができるのか、それとも、青山学院大学・中央大学・國學院大學・創価大学のどこが阻止するのか、はたまた思わぬ伏兵が現れるのでしょうか!
区間賞候補の注目選手
やはり毎年気になるのは区間賞ですね。誰が区間賞を取るのか予想を立てて見る方がやはりレースが面白くなりますよね。
ここでは各校の区間賞候補の選手をご紹介しております。注目選手がエントリーしている区間では、彼らの走りに注目していただければまた面白いかと思います。(※10000mのPB(パーソナルベスト)と管理人の判断を基準にしておりますので、強い選手でも名前があがっていない場合があります。)
・鈴木 芽吹(4)(PB27.30.69):箱根4区3位ー出雲6区1位ー全日本7区3位
・青柿 響(4)(PB28.20.42):箱根10区2位
・安原 太陽(4)(PB29.08.88):箱根7区5位ー出雲5区2位ー全日本6区1位ー上尾ハーフマラソン11位
・赤津 勇進(4)(PB28.30.64):全日本1区1位
・赤星 雄斗(4)(PB30.07.21):箱根8区4位ー全日本4区2位
・篠原倖太朗(3)(PB27.38.66):箱根3区2位ー出雲1区1位ー全日本3区2位
・伊藤 蒼唯(2)(PB28.28.15):箱根6区1位ー出雲4区3位ー全日本5区2位
・佐藤 圭汰(2)(PB27.28.50):出雲2区1位ー全日本2区1位(区間新)
・山川 拓馬(2)(PB30.27.22):箱根5区4位ー出雲3区3位ー全日本8区1位
・佐藤 一世(4)(PB28.11.00):箱根7区7位ー出雲3区4位ー全日本3区8位ーM対抗戦1位
・山内 健登(4)(PB28.28.75):出雲4区1位ー全日本5区4位ーM対抗戦8位
・小原 響(4)(PB28.28.97):全日本4区7位
・倉本 玄(4)(PB28.19.31):M対抗戦4位
・若林 宏樹(3)(PB28.25.71):全日本1区8位
・太田 蒼生(3)(PB28.20.63):箱根4区2位ー全日本7区5位ーM対抗戦5位
・田中 悠登(3)(PB28.35.60):箱根8区5位ー全日本8区3位
・黒田 朝日(2)(PB28.15.82):出雲2区1位ー全日本2区2位ーM対抗戦3位
・荒巻 朋煕(2)(PB28.37.51):全日本6区3位
・伊地知賢造(4)(PB28.29.95):箱根5区7位ー出雲3区5位ー全日本8区2位
・平林 清澄(3)(PB27.55.15):箱根2区7位ー出雲6区4位ー全日本7区1位
・山本 歩夢(3)(PB28.16.92):箱根3区5位ー出雲4区6位ー全日本2区11位
・青木 瑠郁(2)(PB28.32.90):箱根1区13位ー出雲2区8位ー全日本5区3位
・上原 琉翔(2)(PB28.36.44):箱根7区6位ー出雲1区3位ー全日本3区3位
・高山 豪起(2)(PB28.43.51):箱根8区13位ー出雲5区4位ー全日本4区4位ー上尾ハーフマラソン5位
・中野 翔太(4)(PB28.00.86):箱根3区1位ー出雲2区6位ー全日本2区6位
・吉居 大和(4)(PB28.01.02):箱根2区1位ー全日本3区11位
・湯浅 仁(4)(PB28.12.17):箱根9区6位ー出雲6区2位ー全日本7区2位ーM対抗戦2位
・阿部 陽樹(3)(PB28.26.58):箱根5区3位ー出雲4区5位ー全日本8区4位ーM対抗戦6位
・吉居 駿恭(2)(PB28.06.27):箱根4区5位ー出雲3区11位ー全日本1区3位
・溜池 一太(2)(PB28.26.77):箱根1区4位ー出雲5区3位ー全日本4区3位
・山本 唯翔(4)(PB28.25.21):箱根5区1位ー出雲6区3位ー全日本8区5位
・ヴィクター・キムタイ(2)(PB27.41.04):箱根3区11位ー出雲3区1位ー全日本3区1位
・斎藤 将也(2)(PB27.59.68):全日本4区1位
・山森 龍暁(4)(PB28.27.21):箱根3区14位ー出雲4区1位ー全日本2区13位
・桑田 大輔(4)(PB28.11.08):箱根8区9位
・リーキー・カミナ(3)(PB27.50.66):出雲3区2位
・吉田 響(3)(PB28.59.50):出雲5区1位ー全日本5区1位(区間新)
・石丸 惇那(2)(PB28.38.16):箱根10区15位ー出雲1区5位ー全日本3区13位
・スティーブン・ムチーニ(1)(PB28.05.98):全日本7区4位
・織橋 巧(1)(PB29.01.48):全日本1区4位
・ピーター・ワンジル(3)(PB28.25.20):箱根2区20位ー全日本6区2位ー上尾ハーフマラソン4位
・石原翔太郎(4)(PB28.05.91):箱根2区4位
・梶谷 優斗(3)(PB28.27.77):箱根1区19位ー箱根予選会231位
・花岡 寿哉(2)(PB28.15.65):箱根3区6位ー箱根予選会58位ー全日本7区7位
・石塚 陽士(3)(PB27.58.53):箱根2区10位ー出雲3区7位ー全日本3区7位
・間瀬田純平(2)(PB29.13.46):箱根1区14位ー出雲5区5位ー全日本1区2位
・山口 智規(2)(PB29.35.47):出雲2区3位ー全日本2区4位ー上尾ハーフマラソン2位
・工藤 慎作(1)(PB28.31.87):出雲4区10位ー全日本4区13位
・三浦 龍司(4)(PB28.32.28):箱根2区12位ー全日本2区8位
・浅井 晧貴(3)(PB28.30.11):箱根2区7位ー出雲6区4位ー全日本8区6位
・海老澤憲伸(3)(PB28.36.69):出雲4区6位
・高槻 芳照(4)(PB28.11.99):箱根予選会67位ー全日本7区11位
・並木 寧音(4)(PB28.16.30):箱根予選会30位ー全日本4区5位
・前田 和磨(1)(PB28.03.51):箱根予選会9位ー全日本2区3位
・ピーター・カマウ(3)(PB28.19.48):箱根2区9位ー箱根予選会6位ー全日本2区14位
・松永 伶(4)(PB28.28.15):箱根1区3位ー出雲1区9位ー全日本1区9位ー上尾ハーフマラソン3位
・宮岡 幸大(2)(PB28.57.69):箱根7区8位ー上尾ハーフマラソン6位
・児玉 真輝(4)(PB28.22.27):箱根予選会25位ー全日本選考会1組3位
・杉 彩文海(4)(PB28.28.94):箱根7区11位ー箱根予選会52位
・森下 翔太(2)(PB28.24.84):箱根3区4位ー箱根予選会106位ー全日本選考会4組14位
・関口 絢太(4)(PB28.29.24):箱根3区16位ー箱根予選会14位ー全日本選考会4組19位
・山崎 丞(2)(PB28.23.69):箱根1区9位ー箱根予選会80位
・ジェームス・ムトゥク(2)(PB27.50.54):箱根予選会3位ー全日本選考会4組2位
・ビリアン・キピエゴ(1)(PB27.51.65):上尾シティハーフマラソン1位
・シャドラック・キップケメイ(1)(PB28.13.10):箱根予選会1位ー全日本選考会4組29位
・小林 篤貴(4)(PB28.21.10):箱根予選会13位ー全日本選考会4組17位
・吉田 礼志(3)(PB27.58.60):箱根予選会11位ー全日本選考会4組失格
・スティーブン・レマイヤン(1)(PB27.56.49):箱根予選会10位
・ムサンガ・ゴッドフリー(2)(PB28.28.36):全日本選考会4組6位

前回大会の実績を持つ選手
2023年の箱根駅伝を走った実績を持つ選手たちです。成果を出した選手もいれば、思ったように走ることができなかった選手もいます。
今回こそはと意気込んでいる選手には絶好のリベンジのチャンスですが、特に4年生はこれが最後のレースになるので彼らの走りにぜひ注目してください。(※名前の後の数字は学年です)
【駒沢大学】:鈴木芽吹4・安原太陽4・赤星雄斗4・青柿響4・篠原倖太朗3・山川拓馬2・伊藤蒼唯2
【中央大学】:湯浅仁4・吉居大和4・中野翔太4・阿部陽樹3・溜池一太2・吉居駿恭2
【青山学院大学】:佐藤一世4・太田蒼生3・田中悠登3
【國學院大學】:鈴木芽吹4・伊地知賢造4・佐藤快成3・平林清澄3・山本歩夢3・青木瑠郁2・上原琉翔2・高山豪起2
【順天堂大学】:三浦龍司4・石井一希4・藤原優希4・村尾雄己2・浅井皓貴3
【早稲田大学】:佐藤航希4・北村光4・菖蒲敦司4・間瀬田純平2・石塚陽士3・伊藤大志3・伊福陽太3・菅野雄太3
【法政大学】:松永伶4・細迫海気4・宗像直輝4・高須賀大勢4・武田和馬3・宮岡幸大3
【創価大学】:山森龍暁4・桑田大輔4・野沢悠真2・石丸惇那2
【城西大学】:野村颯斗4・山本唯翔4・山中秀真4・林晃耀3・平林樹3・斎藤将也2・キムタイ2・鈴木健真2・大沼良太郎2・桜井優我2
【東洋大学】:佐藤真優4・石田洸介3・小林亮太3・梅崎蓮3・西村真周2
【大東文化大】:久保田徹4・菊地駿介4・佐竹勇樹4・大谷章紘3・ワンジル3・入浜輝大2
【明治大学】:杉彩文海4・尾崎健斗3・森下翔太2・堀颯介2・吉川響2
【帝京大学】:小野隆一朗4・西脇翔太4・末次海斗4・日高拓夢4・小林大晟3・山中博生3・柴戸遼太2
【日本体育大学】:吉冨純也4・内山峻一4・大森椋太4・漆畑徳輝4・分須尊紀3・山崎丞2
【立教大学】:関口絢太4・内田賢利4・服部凱杏4・中山凜斗4・山本羅生3・林虎大朗3・安藤圭佑3・馬場賢人2・相沢拓摩2・国安広人2
【国士舘大学】:山本龍神4・山本雷我4・中島弘太3・西田大智3・鈴木伸弥3・カマウ2・川勝悠雅2
【東海大学】:石原翔太郎4・佐藤真優4・神薗竜馬4・丸山真孝4・越陽汰3・花岡寿哉2
【山梨学院大学】:北村惇生4・高木翔瑛4・新本駿3・高田尚暉3・村上大樹3
注目の新エース候補
注目の新エース候補の筆頭は駒澤大学2年生の佐藤圭汰選手でしょうか。5000mで13分22秒91と学生屈指のスピードを誇る高速ランナーで、全日本大学駅伝でも2区を激走し区間1位で区間新記録をマークしました。箱根でもどんな走りを見せてくれるのか注目したいランナーの一人です。
中央大学2年生の吉居駿恭選手も候補の一人でしょう。5000mでは学生歴代10位の13分22秒01を記録しており、10000mでも28分06秒27のPBを持つ高速ランナーで、全日本でも1区を3位と好走しました。
あとは出雲駅伝では2区1位、全日本の2区では2位で区間新をマークし、11月22日開催された「MARCH対抗戦」でパーソナルベストを更新した青山学院大学の黒田朝日選手。そして同じく全日本の4区で区間賞を獲得した斎藤将也選手にも新エース候補としての走りを期待したいものです。
全日本7区で区間賞の國學院大學の平林清澄選手、そして今年の春に春東海大から創価大に編入するという大きな決断をし、全日本5区で区間新をマークして結果を出した吉田響選手もエース候補と言ってもいいのではないでしょうか。
注目のルーキーランナー
選手の力はもちろんですが、その時のコンディションによってもエントリーされるメンバーは変わります。選手たちは箱根に照準を合わせてコンディションが最高になるように調整しますが、最後は監督の戦略もありますので選手たちは静かにその時を待ちます。
ここで紹介するのは、1年生ながら箱根駅伝でも活躍が期待できるルーキーランナーたちです。当日にエントリーされていたら、彼らの走りにもぜひ注目して見ていただきたいです。
・東京農業大学ー前田和磨(全日本2区で区間3位の6人抜き)
・山梨学院大学ービリアン・キピエゴ(上尾シティハーフマラソンで1位)
・國學院大學ー後村光星(全日本1区6位)
・順天堂大学ー吉岡大翔(出雲1区11位:全日本3区14位)
・早稲田大学ー工藤慎作(出雲4区10位:全日本4区13位)・長屋匡起(出雲6区6位)
・創価大学ー織橋巧(全日本1区4位)・小池莉希(出雲2区5位:全日本4区16位)
・東洋大学ー薄根大河(全日本5区10位)
・東京国際大学ーリチャード・エディ-リ(箱根予選会12位)・アモス・ベット(全日本2区5位)
・東海大学ー南坂柚汰(全日本4区9位)
・日本大学ーシャドラック・キップケメイ(箱根予選会1位:全日本選考会4組29位)
・明治大学ー綾一輝(箱根予選会35位:全日本選考会4組23位)
・東海大学ー南坂柚汰(箱根予選会55位:全日本選考会2組6位:全日本4区9位)
・中央大学ー柴田大地
注目したいランナー
オリンピアンの三浦龍二選手、吉居大和選手や鈴木芽吹選手といった4年生の最後の走りにも注目したいものです。
特に、今年の箱根駅伝の2区で12位と不本意な成績で終わった三浦龍二選手。巻き返しを図った全日本でも区間8位と不完全燃焼に終わった感があるので、箱根ではきっと思うところがあるのではないでしょうか。
また、中央大学の吉居駿恭選手(2)は吉居大和選手の弟で、ともに同じ大学で走る兄弟ランナーということで話題ですが実力もあるので注目したい選手です。
・篠原倖太朗:日本学生ハーフマラソンでは1位でゴールに駆け込み、今季開幕戦の出雲駅伝1区では区間賞を獲得して完全優勝の流れを作った。全日本でも3区を2位と好走し、「八王子ロングディスタンス」では27分38秒66とPBを更新して波に乗っている。しかし、佐藤圭汰やキャプテンの鈴木芽吹からは後れを取ったことで「やっぱり弱いなと。シンプルにそれだけ」と悔しがっていたことが起爆剤となるかも知れない。
・花尾恭輔:今季は夏前の疲労骨折の影響で出雲駅伝と全日本大学駅伝には出走できなかったが、安定感抜群で監督の信頼が厚い主力のひとりだ。全日本のあと藤田敦史監督も「彼は箱根を絶対に走ってもらわないといけない選手」という言葉を残しているように完全復活が期待される。
・前田和磨:6月の選考会で10000mでU20日本歴代2位となる28分03秒51を叩き出し、箱根駅伝予選会ではハーフマラソンのU20日本歴代2位となる1時間1分42秒の爆走を見せた。東農大を復活させた立役者といっても過言ではない。全日本2区でも区間3位の6人抜きという能力の片鱗を見せてくれた。箱根でも華の2区を任されるのは濃厚ですが、きっと好走を見せてくれるはずだろう。
・吉岡大翔:13分22秒99の5000m男子高校記録を持ち、10000mは順大記録会(2023.06.10)で28分46秒95のPBを記録しています。主将の三浦龍二も「練習の質も爆上がり。お互い引っ張り合えるから勝手に上がっちゃう」というほどチームにも変化をもたらしている。全日本では区間14位と振るわなかったが、実力はある選手なのでここ一番に期待したい。
・工藤慎作:日体大競技会(2023.04.22)で28分31秒87のPBを記録。出雲駅伝では4区10位、全日本では4区13位とまずまずの走りを見せた。「工藤は、塩尻(和也・富士通)君みたいなタイプ。失礼な言い方だけど、パっと見は速そうに見えないけど、走ったらめちゃめちゃ速い。工藤も普段はふわっとしていて、そんなに強そうに見えないんですけど、走ったら怖いくらいの強さを見せられる選手(花田監督)」との談話を出しています。
・長屋匡起:日体大競技会(2023.04.22)で29分42秒54のPBを記録し、ロードの強さを評価されて出雲駅伝でアンカーとして起用された。6位で襷をもらい前をいく國學院大と青学大を追い、10.2キロの最長区間を淡々と走った。最後は青学大の背中が見えるところまで迫る好走を見せた。
・小池莉希:記録会(23.09.24日)で5000m13分34秒82というU20 歴代9位のタイムを叩き出した。7月のホクレン深川大会で出した自己ベストを20秒も短縮し、好調を維持して出雲駅伝に起用されて2区を5位と好走した。全日本では4区16位とイマイチだったので巻き返しを期待したい選手の一人だ。

往路・復路の選手はこうして決める
今回はチームエントリー(正競技者10名・補欠競技者6名以内)が12月11日で例年よりも1日遅くなりましたが、区間エントリーは例年通り12月29日です。
往路・復路とも、当日のメンバー変更はレース開始1時間10分前(6時50分)まで受け付けられますが、交替は6名まで可能で1日最大4名までとなっています。しかし、正競技者同士の区間変更は認められませんので、監督は選手の体調をしっかり把握しておかなければなりません。
往路で起用される選手はどんなタイプ?
往路の選手はスピード能力が高く、集団に絡んで競ってもしっかりと走れる選手が起用されます。また、勝負を左右する1区、2区、5区があるので監督の信頼が厚い選手が多く揃っています。
襷をもらったときに前に選手がいると、駅伝のセオリーではまずは前に追いつかないといけませんし、さらにもっと先に行っている選手がいる場合は、そこが勝負どころの区間だとあと先考えずに突っ込んでいかないといけないので相当の実力が必要です。そういう意味では、往路に強い選手が集まる傾向はあります。
復路で器用される選手はどんなタイプ?
逆に復路は、一斉スタートは別にしてほぼ前後に選手がいないことが多いので、単独で走ることを気にせずにイーブンペースで走れる選手が起用されます。
ひとりで淡々と20キロを走りきるみたいなイメージで、しっかりタイムを刻みながら自分のペースで走ることができる選手が理想的です。
往路5区の“山の神”は?
過去に、順天堂大学の今井正人選手や東洋大学の柏原竜二選手、青山学院大学の神野大地選手らが滅法幟に強いいわゆる“山の神”として降臨し、5区での善し悪しがレースに大きな影響を与えると考えてきましたが、はたして今回もそういう傾向はあるのでしょうか。
中央学院大学の川崎勇二監督は、“もう山が勝負の時代ではない”と分析しています。
その理由としては厚底シューズを挙げ、「厚底効果は山で顕著で、勝負のポイントは平地に戻ってます」と言われており、続けて「“山の神”と言っても、彼らは強豪校の2区も走るエースです。いまの5区は、ウチの選手でも十分勝負できている。山で差はつかなくなった」と断言しています。
ひょっとすると、昔のように再び2区、3区のエース区間に焦点が当たり、かつての順大と駒大対決のように復路勝負に戻るかもしれません。
そういった意味では、今回は5区の山登りの記録にも注目して見てみるのもいいかもしれませんね。
優勝校を予想する
11月5日に行われた全日本大学駅伝から箱根駅伝まではおよそ2か月しかないので、体力の戻り具合やコンディション調整など、全日本大学駅伝で好成績を残した選手がそのままエントリーできるかどうかは分かりません。
そして全日本大学駅伝は8区間106.8㎞ですが、箱根駅伝は10区間で217.1㎞と走る距離は倍になることで、1区間あたりの距離が長くなり選手に求められる能力も微妙に変わってきます。
さらに言えば往路の5区には箱根の山があるので、実力が一歩抜けている駒澤大学が必ずしも優勝に近いとは言えないのです。
優勝は駒澤大学か⁉
とはいえ、今の駒澤大学の選手層を見ると穴はないように思えます。優勝候補の一番手はやはり駒澤大学ではないでしょうか。
ライバルの青山学院大学の原監督からも「学生駅伝界で史上最強のチーム」と言わしめた、今の駒澤大学の実力は否定しようがありません。箱根を勝って2年連続3冠はかなりの確率で達成できるのではないかと思います。
対抗は青山学院大学か⁉
駒澤大学の2年連続3冠を阻止する可能性があるとすれば、「5000メートルの45人の平均タイムは14分00とギネス級」の原晋監督が豪語する青山学院大学ではないでしょうか。
11月22日に行われた「MARCH対抗戦2023」でも3連覇を達成しており、選手層の厚さでも群を抜いているように思います。区間を任された選手が普段通りの実力で走ると駒澤大学に勝つことは全く不思議なことではありません。
また、「出雲で5位、全日本で2位、箱根で優勝の年があった」と言うように、原監督の選手気持ちを奮い立たせる言葉のマジックが選手を箱根のレースを動かしそうな気がします。
まとめ
全日本大学駅伝から正月の箱根駅伝までの約2か月。ここからまた箱根への切符を獲得するために選手たちが熾烈なレギュラー争いが始まります。
出雲、全日本で実績が出せた選手、また出せなかった選手、そこを走れなかった選手もまた、監督に猛烈に自分自身をアピールし続けるわけす。
そんな選手たちが、チームの襷を繋ぐために走る箱根駅伝が面白くないわけがありません。2024年の箱根駅伝もきっと、私たちを感動させてくれるレースが繰り広げられるでしょう。