実家に帰って来て驚いたのは、こんなに寒かったのかと思うほど寒いことでした。東京に比べてもずっと南の方に位置する九州なのに、東京にいたころよりもずっと寒く感じるのです。
実家があるのは田舎の方なので、やはり住宅が密集している街中よりもかなり寒いのかもしれませんが、どうしても我慢ができないのがお風呂の脱衣所が寒いことでした。
ヒートショック対策の重要性
何の番組だったのかは忘れましたが、テレビでヒートショックというものを知りました。そう、お風呂に入るときに血圧が上がってしまって急死してしまうというヤツです。なんと2011年には、約1万7,000人もの人がお風呂に入浴中に、ヒートショックで急死をしたそうなんです。
若いときはまったく平気だったんですが、東京のマンション暮らしに慣れ切った今の体には、木造で広くて襖や障子だらけの家はやっぱりちょっと寒すぎです。
妻も高血圧症になり、私も体に自信がある方でもないので、転ばぬ先の杖と思って脱衣所温風ヒーターを取り付けたというわけです(笑)
ヒートショックとは
ヒートショックとは、一部の業界で使用されているもので医学用語ではありませんが、一言でいうと急激な温度変化によって体がダメージを受けることをいいます。
具体的には、温かい部屋からトイレやお風呂などの寒い場所に行くことで、血管が収縮して血圧の急激な上昇や下降、或いは心拍数の急激な変化が起こることです。
温かい部屋から急に寒いところに出たとき、体がブルブルッとなるのは、室温が急激に変化したことにより、体が体温を調節しようとしているのです。
ヒートショックの症状
ヒートショックは軽度であれば立ちくらみやめまい程度ですが、頭痛や吐き気、胸の痛みや脱力感などがあります。
ろれつが回らなくなったり動きがぎこちなくなる、ひどい場合は気を失うこともあるので十分に注意が必要です。そうなったらあまり動き回らずに救急車を呼びましょう。
ヒートショックの原因
ヒートショックの原因は、急激な温度の変化による血圧の急上昇、あるいは急降下で血管が収縮したり拡張したりすることで、血管や心臓に大きな負担がかかることをいいます。
・暖房の効いた温かい部屋から、寒い脱衣所に入ってお風呂に入るために服を脱ぐ。
・寒い脱衣所からお風呂場に入りいきなり熱いお湯につかる。
・お風呂で長時間温まった後に、寒い脱衣所に移動して冷たい空気にさらされる。
・暖房の効いた温かい部屋から、寒い廊下に出たりトイレに行く。
・寒いトイレでいきみすぎたり、いきなり立ち上がったりする。
・お酒を飲み、心身がリラックスして血圧が下がっている時に入浴する。
高齢者のヒートショック予防
お風呂での注意点
ヒートショックが最も起こりやすいのは冬場の浴室と言われています。服を脱いでから浴槽に入るまでに「寒い」と感じていればリスクが高く、ヒートショックによる重大事例が起こる可能性があります。
高齢者によく起きるヒートショックの危険性
ヒートショックは、高血圧症や動脈硬化、糖尿病などの持病を持っている人、または血管が脆くなっている高齢者は脳卒中や心筋梗塞といった、重篤な症状を引き起こす可能性があり命に関わる危険なものとなります。
特に65歳以上の高齢者の方は、血管が弱くなっているので血圧の上昇幅も大きく、脳出血を起こしやすいので気をつけた方がいいようです。
お風呂でのヒートショック予防対策
脱衣所の温度調整
脱衣所には暖房器具を置き、入浴する前に脱衣所内を温めて置きます。しっかり温めるに越したことはありませんが、電気ヒーターなどでほんのり温めるだけでも全く違います。
脱衣所のヒートショック対策グッズ
室内を温めるという点ではストーブやファンヒーター、電気ヒーターでもいいのですが、火災予防の観点からいえば火気を使うのは避けたいものです。
おすすめは壁掛け式の脱衣所温風ヒーター。誰も人がいないところで点けていても火事の心配はなく安心です。
浴室の温度調整
浴室暖房ができれば理想的ですが、そうでない場合は浴室の床にお風呂のお湯か、シャワーでお湯を撒くと浴室内の温度が上がり温度差が小さくなります。またできるだけ一番風呂は避け、浴室が温かくなってから入るようにした方が賢明です。
「お年寄りに一番湯はいけない」という言葉がありますが、これはヒートショックという言葉が生まれる前から知られていた生活の知恵なのです。
お風呂の前後の対策
お風呂に入ると汗をかきます。水分が足りないと血液がドロドロになり、脳梗塞や心筋梗塞などを起こしやすくなりますので、入浴する前にはコップ一杯の水を飲みましょう。
いきなり浴槽に入らず必ずかかり湯をしてから入るようにし、手や足などの心臓から遠い場所にかけ湯をして身体をお湯に慣れさせましょう。また、首までお湯に浸かることも心臓に負担をかけるので、浸かるとしても胸のラインくらいまでにしましょう。
お風呂のお湯の温度
人によって、またその日の体調によっても異なりますが、お湯の温度は40度以下、湯に浸かっている時間は10分までを目安に長時間の入浴は避けるようにしましょう。
お風呂の温度が42℃以上だと心臓に負担をかけることがわかっています。41℃以上になると浴室での事故が増えると報告されているので、お湯の温度は38~40℃に設定して入浴することが勧められています。
サウナ利用時のヒートショック予防策
サウナの注意点
サウナでの発汗による脱水症状が、ヒートショックを引き起こす原因となる場合があるので、サウナに入る前には必ず300~500ml程度の水分を摂ってから入りましょう。
ただし、サウナに入る直前に冷たい飲み物を飲むと体温調節が乱してしまうことがあるので、常温の水やスポーツドリンクなどを摂りましょう。
サウナでのヒートショック予防
サウナでヒートショックが起こる理由は、急激な温度変化と脱水症状の二つです。
サウナでのヒートショックを予防するには、以下のことに注意しましょう。
・長時間サウナに入らない
・適切に水分補給をする
・無理に高温のサウナに入らない
・適宜外気浴や休憩をする
・飲酒後には入らない
まとめ
ヒートショックの危険があるのは、じつは高齢者だけではないそうです。自分が気づかないうちに血液がドロドロになった状態だと、若い人でも急に自分の身に起きることもあるようです。
サウナも同じで、適切に水分補給をしないとヒートショックだけではなく脳疾患のリスクも高まります。何事も転ばぬ先の杖ですね。