認知症の早期発見と早期対応

2018年10月2日

認知症とは

認知症とは、生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退したり、或いは消失したりすることで、日常生活や社会生活を営めない状態になることをいうそうで、後天的原因によって生じるとされる知能の障害の知的障害(精神遅滞)とは異なります。

また、認知症というのは症状が集まった状態を指していて、認知症という病名ではありません。

ですから、認知症の原因となる疾患や症状は様々で、原因となる疾患によって現れる症状が異なることもあり、中には原因は違っても同じような症状があったり、複数の原因が重なっていたりすることがあるようです。

つまり認知症とは、さまざまな原因によって脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったりすることでいろんな障害が起こり、正常な日常生活を営むことに支障がある状態のことをいいます。

認知症は、かつては痴呆症といわれていたのですが、その症状を持つ人の多くは高齢の人に多く、その「痴呆」という言葉にかなり抵抗があったようです。

なにか恥ずべき事のように感じ、そういった症状が自分自身や家族に表れても、隠してしまうという人が多くなって、やがて大きな社会問題になっていきました。

発見が早ければ重症にならずに済んだという人も多くあったことから、もっとソフトなネーミングをということで、最近は日本医師会では痴呆症と言わずに「認知症」と言うようになっているようですね。

認知症とその予備軍はますます増えていく

でも、いずれにしても今の日本が確実に高齢化社会へと突き進んでいることは事実で、今後も認知症の患者が増えていくのは間違いありません。

現在でも、推計で65歳以上の高齢者のうち15%の人が認知症を発症していると明らかになっています。

認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の高齢者も約400万人いると推計されていて、なんと2025年には65歳以上の4人に1人が、認知症とその予備軍になるといわれています。

さらには、認知症の専門医の間でも見解に大きなバラツキがあり、MCIの患者数だけでも4人に1人をはるかに超えるという医者の声も多いようです。

認知症の症状

認知症の症状は様々ですが、大きく分ければ以下の5つの症状に分けることができます。これらの症状の現れ方は、現在の生活環境や過去の生活歴、その人の性格などによっても個人差があります。また病状の進行状況によっても違いが出てきます。

知的能力の低下

記憶障害:物忘れがひどくなり、新しいことを記憶できなくなる。
見当識障害:日時、場所、周囲の人との関係がわからなくなる。
理解・判断力障:考える力、理解する力が低下する。計算ができなくなる。
認知障害:物事を見分け判断する力が低下し、人違いをしたりする。

心の症状

夜間せん妄:夜に大声で騒いだり人を呼んだりする。
不眠:夜眠れない。
幻覚:あるはずのないものが見えたり聞こえたりする。
妄想:ありえないことを固く信じ込む。
抑うつ:気分が落ち込む。

行動の障害

徘徊:目的もなくうろうろと歩き回る。
不眠:昼夜が逆転し夜眠らない。
暴力:ささいなことで怒り出し暴力をふるうようになる。
異食:食べられない物を口に入れてしまう。
弄便:自分の排泄物をいじる。

身体の障害

歩行障害:歩行するのが困難になる。
嚥下障害:食べ物の飲み込みが悪くなったり、むせたりする。
膀胱直腸障害:尿や便が出にくかったり、失禁したりする。

日常生活能力の低下

食事、排泄、入浴、着替えといった、日々暮らすためのごく基本的な動作ができなくなる。

認知症の早期発見と早期対応

認知症の原因や状態によっては、適切な診断・治療によって、症状の改善するものもあります。認知症の初期には、症状が目立たないこともありますが、いつもと様子が違う時には早めに精神科等の病院を受診することをお勧めします。できるだけ早期に発見し、適切な対応をすることが、お年寄りの状態の安定と、家族の負担を軽減することにつながります。

認知症の早期発見の目安

認知症の人と家族の会では、その会員の方の経験の中からまとめられた、認知症の早期発見のめやすが発表されています。

必ずしも医学的な診断基準ではありませんが、あくまでもめやすとして参考にしてくださることで、この高齢化社会が抱える認知症問題の一部でも緩和できれば幸いです。

もの忘れがひどい

  • 今切ったばかりなのに、電話の相手の名前を忘れる
  • 同じことを何度も言う・問う・する
  • しまい忘れ置き忘れが増え、いつも探し物をしている
  • 財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑う

判断・理解力が衰える

  • 料理・片付け・計算・運転などのミスが多くなった
  • 新しいことが覚えられない
  • 話のつじつまが合わない
  • テレビ番組の内容が理解できなくなった

時間・場所がわからない

  • 約束の日時や場所を間違えるようになった
  • 慣れた道でも迷うことがある

人柄が変わる

  • 些細なことで怒りっぽくなった
  • 周りへの気づかいがなくなり頑固になった
  • 自分の失敗を人のせいにする
  • 「このごろ様子がおかしい」と周囲から言われた

不安感が強い

  • ひとりになると怖がったり寂しがったりする
  • 外出時、持ち物を何度も確かめる
  • 「頭が変になった」と本人が訴える

意欲がなくなる

  • 下着を替えず、身だしなみを構わなくなった
  • 趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった
  • ふさぎ込んで何をするのも億劫がりいやがる

「出典/公益社団法人認知症の人と家族の会」

認知症の早期対応

現在では認知症に効果があるお薬も開発されていますので、早めに精神科等の病院を受診することで進行を抑えられたり、改善することが期待できます。

早期に発見して早期に対応をすることで、本人だけでなく家族の方の負担の軽減につながりますので、日常生活でのご家族による観察が重要ですね。